人工臓器
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グルタチオンによるHb小胞体のmetHb生成抑制
横浜 裕明清野 由里子鄭 主恩酒井 宏水武岡 真司西出 宏之土田 英俊
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1994 年 23 巻 3 号 p. 868-871

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抄録

Hb小胞体中の高純度Hbのメト化抑制のために、α-tocopherol(α-Toc)とGlutathione(GSH)の使用を検討した。卵黄レシチンを膜成分として用いた系では、α-Toc添加により脂質の過酸化が抑制され、met-Hb生成速度は低下する。しかしDPPCなどの飽和型脂質を用いた系の方がmetHb生成速度は低くなる。
GSHはmetHbを還元する一方、酸素酸化過程で生じる活性酸素種が逆にmetHb生成を促進する。Hb濃度を高くして還元速度を高め、酸素分圧を低くしてGSHの酸素酸化を抑制することにより、GSHによるmetHb生成を効果的に抑制した。Hb溶液系で最適なGSH添加条件を明らかにし、これをHb小胞体に適用することによりmetHb生成速度をGSH未添加系の半分以下に低下させることができた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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