抄録
Cryofiltration療法により血漿中より除去されるクリオゲルの、ゲル形成機構における細胞型EDA(+)フィプロネクチン(EDA(+)FN)の役割を動的光散乱法を用いて分子サイズレベルから検討しだ。血漿性フィブロネクチン(血漿性FN)およびEDA(+)FNの拡散係数(D)を単一分子および入パリン添加状態で温度を変化させて測定し、Stokes-Einsteinの式から流体力学的半径(Rh)を求めた。10~15℃の温度領域で血漿性FNは自己会合しており、ヘパリンを添加してもRhはほとんど変化しなかった。EDA(+)F廊う場合も10~15℃で自己会合が見られたが、ヘパリンを添加すると5~20℃において約10倍、25~35℃にて約数100倍に会合体サイズが増大した。動的光散乱測定からFN分子の会合体サイズの検討が可能となり、クリオゲル形成時にEPA(+)FNとヘパリンが密接に関与している可能性が示唆された。また今回EDA(+)FN-ヘパリン会合体のEDA(+)FN分子の形態変化に由来する2種類の会合体形成機構モデルを考案した。