抄録
新規に合成された芳香族ポリイミド膜のガス交換能と血液適合性を評価し、新しい膜型人工肺材料としての可能性を検討した。化学イミド化法で合成された芳香族ポリイミドは有機溶媒に可溶となり、乾湿式相転換法により非対称膜の作成が可能となった。この膜は緻密な超薄膜層からなるskin層と支持体である多孔質層から構成され、臨床応用に可能なガス交換能を実現した。ガラス状高分子である芳香族ポリイミド膜は炭酸ガスに対し特異的な透過挙動を示し、供給ガス圧力の低下と共にガス透過性は著しく増大、膜型人工肺で問題となる低圧部での炭酸ガス除去が効果的に行われた。ポリイミド膜への血小板粘着はシリコーン膜、ポリプロピレン膜に比べ少なく変形も殆ど認められなかった。以上より、合成された新規芳香族ポリイミドの新しい膜型人工肺用材料としての可能性が示唆された。