抄録
簡便に施行し得る右心補助システムとして, 我々は軸流ポンプを用いた右心補助システムの開発を進めている. 今回成山羊を用いた動物実験において, その操作性, 右心補助効果および短期使用の可能性を検討した. ポンプシステムの挿入は, 末梢側下大静脈に端側吻合した径14mmの人工血管を介して行ったが, 特に問題なく施行し得た. また, 急性実験において, 肺動脈狭窄下, および両心不全下における右心補助効果を認めた. さらに, 正常心成山羊3頭に本システムを挿入し, 操作性および安全性を検討した. 最長48時間の右心補助を施行したが, ピーク血漿ヘモグロビン値は60mg/dl以下であった. 剖検では右心室内膜下に軽度の出血を認めた. 本システムは簡便に使用できる短期右心補助法として有望と考える.