抄録
長期透析患者にみられる、アミロイド骨関節症をはじめとした透析合併症の進展に、サイトカインの関与する可能性が示唆されている。今回血中濃度の測定が可能であるM-CSFと透析膜素材について検討した。対象は健常者(I群)10例、保存期腎不全患者(II群)6例、CAPD患者(III群)5例、血液透析患者(IV群)264例とした。II群、III群、IV群の血中M-CSF濃度はI群の血中濃度に比べてあきらかに高値を示した。透析膜素材別に血中M-CSF濃度を見ると、銅アンモニウムレーヨン膜、酢酸セルロース膜、ヘモファン膜に比べ、テルモSS膜使用例で有意な上昇が認められた。血液透析前後での血中M-CSF濃度の変化をみるとPMMA膜およびヘモファン膜に比較して銅アンモニウムレーヨン膜で有意な上昇がみられた。またハイパフォーマンスメンブレンを使用することにより、血中M-CSF濃度は低下した。