1995 年 24 巻 3 号 p. 654-658
腹膜での溶質の移動速度について、家兎、小型犬、大型犬を用いたin vivo実験を行い、ヒトの結果と比較した。溶質移動速度の指標となる腹膜ダイアリザンスの値は、実験動物の体重のべき乗で表現できた。また腹膜血流量のラット、家兎およびヒトにおける文献値、犬における推定値と、腹膜ダイアリザンスとを比較することにより、ラットや家兎のような小動物では腹膜血流量は十分に大きく、物質移動は腹膜自身の抵抗に支配されるものと思われた。これに対して体重が大きな大型犬やヒトでは、腹膜の有効血流量は十分に大きいとはいえず、腹膜での物質移動には血流量が影響を与えると思われた。
家兎壁側腹膜のin vitro透過実験より、家兎腹膜の透過特性は市販の血液透析膜などより、遥かに優れていると思われた。