人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
腹膜物質移動速度のin vivoおよびin vitro実験における評価
山下 明泰熊野 和雄酒井 糾中西 光J.W. MONCRIEFR.P. POPOVICH
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 24 巻 3 号 p. 654-658

詳細
抄録

腹膜での溶質の移動速度について、家兎、小型犬、大型犬を用いたin vivo実験を行い、ヒトの結果と比較した。溶質移動速度の指標となる腹膜ダイアリザンスの値は、実験動物の体重のべき乗で表現できた。また腹膜血流量のラット、家兎およびヒトにおける文献値、犬における推定値と、腹膜ダイアリザンスとを比較することにより、ラットや家兎のような小動物では腹膜血流量は十分に大きく、物質移動は腹膜自身の抵抗に支配されるものと思われた。これに対して体重が大きな大型犬やヒトでは、腹膜の有効血流量は十分に大きいとはいえず、腹膜での物質移動には血流量が影響を与えると思われた。
家兎壁側腹膜のin vitro透過実験より、家兎腹膜の透過特性は市販の血液透析膜などより、遥かに優れていると思われた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top