1995 年 24 巻 3 号 p. 659-663
腹膜透析においてリンパ、および非リンパ系の腹腔内水分吸収率を種々の実験モデルを用いて棟討し、これらの関与の割り合い、臓器部位によるそれらの関与の違いについて調べた。横隔膜・肝癒着術、腸管摘出術、両手術併用、無処理の4群ラット(各6匹)に5%ウシアルブミン(BSA)添加Krebs Ripger液にて180分の透析を行った。tracer(125I-BSA)の透析液よりの消失率から腹膜総水分吸収率(PNFAR)、血中への出現率よりリンパ吸収率(LAR)を数理式を用いて求めた。PNFARは平均36μl/min、LARは7.7μl/minであり、両者の間には大きな差があった。即ち、PNFARの78%は非リンパ系吸収であり、これには腹壁、腸管(特に前者)の関与が大であり、横隔膜の関与は非常に小さかった。LARは55%が横隔膜下で、23%が腸管で、9%が腹壁で行われていた。今回のラットモデルは腹腔内の水分、溶質の移動を詳細に部位別に検討するのに適したモデルと思われた。