理学療法学
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振動刺激負荷後の重心動揺の変化
―振動周波数と負荷時間による影響―
岩月 宏泰室賀 辰夫木山 喬博
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1991 年 18 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

健常者では,直立位に腓腹筋を強制振動すると体重心の後方偏位が生じ,振動から解放された後には急速な体重心の前方移動が出現する。この振動停止後の一過性の立ち直りが,振動周波数(70,130Hz)や負荷時間(0.5,1,2,3分)の影響を受けるか否かを検討した。結果を以下に示す。
1)刺激停止直後における前後成分の最大振幅:閉眼では130Hzが30秒間の負荷時間で70Hzよりも有意に大きかった(p < 0.01)。
2)重心動揺距離:70Hzと130Hzを比較すると開眼では有意な差を認めなかったが,閉眼では負荷時間に関わりなく70Hzで有意な増大がみられた(p < 0.01)。
3)重心動揺面積:重心動揺距離と同様に負荷時間に関わらず70Hzの閉眼条件で有意な増大がみられた(p < 0.01)。
以上の事から,振動刺激が立位時の抗重力筋の固有感覚に及ぼす攪乱効果は,周波数70Hz近傍で約30秒間の負荷時間が本実験条件の中で最も大きいことが認められた。

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© 1991 公益社団法人 日本理学療法士協会
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