人工臓器
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透析膜における生体適合性の研究:残血の発生におけるMatrix蛋白質(Fibrinogen、Vitronectin)の役割について
福田 収横山 公要井澤 裕谷津 勲高橋 伸治小島 弘栄畑中 美博似鳥 嘉昭朝倉 伸司坂田 洋一松田 道生浅野 泰目黒 輝雄
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1995 年 24 巻 3 号 p. 765-769

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抄録
血液透析時のDialyzer内残血現象と、Fibrinogen (Fbg)、Fibronectin (FN)をはじめとするMatrix蛋白質の動態、及び血液凝固反応の関与を既に検討し報告した(透析会誌27:1159-1167, 1994)が、今回、透析膜とVitronectin (VN)との関係について蛍光抗体法を用いて検討した。再生cellulose膜による血液透析(HD)を施行している慢性腎不全患者(残血症例6例と非残血症例6例)12名についてHD終了後に生理食塩水にてDialyzer内を洗浄し、膜内面を蛍光抗体法により観察した。その結果、残血症例では、膜内面に沿ってVNのlinear-patternが明瞭に認められ、また、血栓内にもVNが認められた。非残血症例とは異なり、残血症例のDialyzerの1モルNaCl溶出液中に多くのVN-multimerが認められたことと今回の検討結果よりVNが残血現象の原因に関与していることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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