抄録
血液透析時のDialyzer内残血現象と、Fibrinogen (Fbg)、Fibronectin (FN)をはじめとするMatrix蛋白質の動態、及び血液凝固反応の関与を既に検討し報告した(透析会誌27:1159-1167, 1994)が、今回、透析膜とVitronectin (VN)との関係について蛍光抗体法を用いて検討した。再生cellulose膜による血液透析(HD)を施行している慢性腎不全患者(残血症例6例と非残血症例6例)12名についてHD終了後に生理食塩水にてDialyzer内を洗浄し、膜内面を蛍光抗体法により観察した。その結果、残血症例では、膜内面に沿ってVNのlinear-patternが明瞭に認められ、また、血栓内にもVNが認められた。非残血症例とは異なり、残血症例のDialyzerの1モルNaCl溶出液中に多くのVN-multimerが認められたことと今回の検討結果よりVNが残血現象の原因に関与していることが示唆された。