抄録
Cryofiltration施行中に血中EDA(+)フィプロネクチン(EDA(+)FN)は一過性に上昇するが、その血中変動に及ぼす、疾患、体外循環、抗凝固剤の影響を検討した。Cryofiltrationを行った種々の疾患における血中EDA(+)FN上昇の比較では自己免疫疾患以外の疾患でも上昇するものの、自己免疫疾患の方が上昇率は高かった。Cryofiltration、ヘパリン透析、低分子ヘパリン透析、メシル酸ナファモスタット透析の4群でEDA(+)FNの経時変動を比較すると、いずれの群もEDA(+)FNは上昇し、Cryofiltration群とメシル酸ナファモスタット透析群でより顕著であった。体外循環をせずにヘパリン投与のみで経時変動をみると、EDA(+)FNは投与後急速に上昇して15~20分で最高値、逆に血漿型FNは最低値となり、両者の変動は対称的であった。以上から、体外循環中のEDA(+)FNの上昇は抗凝固剤によるものであり、ヘパリンのみならず低分子ヘパリシやメシル酸ナファモスタットでもみられる現象であることが判明した。