人工臓器
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大量液置換可能な透析器の性能評価
―Plug透析器―
細矢 範行佐々木 正富竹沢 真吾
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1996 年 25 巻 1 号 p. 107-112

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抄録
大量液置換を伴うon-line HDF・Push/pull HDFでは、特殊で高価な装置を必要とする。今回透析器の透析液側中央部に隔壁“plug”を設けて逆濾過を促進させ、特殊で高価な装置を用いず透析器1本で大量液置換できる新しい透析器Pを開発した。β2-MG添加牛血液系透析実験(QF=10ml/min/m2)の結果、Pのβ2-MGクリアランスが通常透析器Nの1.5~3倍上昇した。理論計算でPの逆濾過流量を算出した結果、74~84ml/minと高値を示した。Pは透析液流量の減少により逆濾過量が低下するが、透析液流量を400ml/minに減少させたヒト血清系透析実験(QF=10m1/min/m2)でも、Pの低分子量蛋白質クリアランスがNより著しく向上した。また、X線CTで透析液側流動状態を観察した結果、Pの流動状態はNより良好であった。さらに、0.4m2のPとNによる犬体外循環実験の結果、白血球・血小板の変動、アルブミン喪失にほとんど差がなかった。よって、Pは有用な大量液置換可能な透析器であるといえる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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