2014 年 70 巻 4 号 p. I_127-I_136
2006年4月に日本土木工業協会(土工協)が「透明性ある入札・契約制度に向けて-改革姿勢と提言-」を公表した.提言内容は実施的な談合離脱の宣言であり,建設産業は「競争の原理」へと動き出した.その結果,発注者側の設定した「予定価格」を大幅に下回る金額で契約が成立するケースが全国で発生し,追加費用精算への落札率の適用問題が浮かび上がってきた.国土交通省を始めとして,ほとんどの公的発注機関が追加費用精算への落札率適用をルール化しているが,その論理基盤は確かなものか.これまで,入札・契約方式といった調達方式の改革が進められて来たが,契約条項に基づく適正な追加費用精算システムの確立は「競争の原理」に基づく産業基盤を作る上で極めて重要なものとなってくる.