人工臓器
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高密度ポリHEMAブラシの構築とその血液適合性
伊藤 穂高植木 貴之妙中 敦長崎 幸夫片岡 一則加藤 政雄鶴田 禎二鈴木 憲岡野 光夫桜井 靖久
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1997 年 26 巻 2 号 p. 519-523

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抄録
高い血液適合性とガス透過性を併せ持つ材料創出を目的として疎水部に有機ケイ素を有するHEMA-スチレン誘導体ブロックポリマーの合成を行った。このように有機ケイ素を有するセグメントをポリHEMAに導入することにより、ガス交換能だけでなく、その血液適合性も飛躍的に向上した。例えば、ポリHEMAに疎水性セグメントとしてポリ[4-ビス(トリメチルシリル)メチルスチレン](ポリBSMS)を10モル%導入(BH(10))したブロックポリマーは、疎水性セグメントの導入にもかかわらずその膨潤度がポリHEMAの2倍にも達した。さらに、その血小板との接触試験において吸着性及びカルシウムイオン放出試験の両者とも、ポリHEMAと比較して極めて良好な結果であった。これらの結果はBH(10)のミセル状構造に基づく高含水性ポリHEMA鎖が血液成分に対して極めて高い親和性を発揮したためと考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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