人工臓器
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常温体外循環の有用性及び安全性に関する検討(軽度低体温体外循環との比較)
江本 秀斗堀越 茂樹宇野 吉雅鈴木 博之宇野 光晴田口 英昭
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1998 年 27 巻 1 号 p. 154-157

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抄録
常温体外循環(36.5℃)と軽度低体温体外循環(32℃)を比較検討した。体外循環時間, 大動脈遮断時間には常温群、低温群で有意差は認めなかったが、再灌流時間は常温群で有意に短かった。体外循環中の体血管抵抗は常温群で有意に低かった。体外循環中の尿量は両群間で有意差は無かった。術後24時間までの出血量は常温群で低温群に比べ少ない傾向にあった。血清creatinine値、血清GOT値、血清GPT値, 血小板数を術前、術後第一、二病日とで比較したが両群間で有意差は無かった。結論として、1. 常温体外循環では軽度低体温体外循環に比べ末梢血管抵抗が低かった。2. 常温体外循環での術後肝腎機能は軽度低体温体外循環と比較して差がなかった。3. 常温体外循環では再灌流時間が短縮された。以上より、常温体外循環は安全で有用な方法と考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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