人工臓器
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心房間シャントによる電気油圧駆動方式全人工心臓システムの左右心拍出量差代償に関する研究
巽 英介中村 真人増澤 徹妙中 義之孫 領相中田 雅子大野 孝遠藤 誠子西村 隆武輪 能明中谷 武嗣高野 久輝
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1998 年 27 巻 1 号 p. 31-36

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抄録
電気油圧駆動方式全人工心臓(EHTAH)の心房間シャント(IAS)の左右差代償能力を評価した。閉鎖型模擬回路を用いたin vitro評価では、気管支動脈流量の増加に伴って心房間圧較差も増大し、その程度はサイズの小さいIASほど顕著であった。径4.4mm以上のIASでは5%までの気管支動脈血流において許容できる心房間圧較差であった。シャント流量波形上観察された右→左方向の逆流成分は、心嚢膜で形成した一方向弁を取り付けたIASではほぼ完全に消失した。慢性動物実験によるin vivo評価では、体重62kgの仔牛にEHTAHを埋込み、径4.5mmのIAS(弁なし)を形成して10日間駆動した。実験期間中の心房間圧較差は4±1mmHgで安定して推移し、広い範囲の心房圧に対して動的な左右差の代償を行い得た。剖検時にIASの内部や周辺に血栓形成を認めず、良好な開存状態を示した。以上より、IASはEHTAHシステムの左右差を代償するための基本的能力を有することが示された
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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