抄録
現在、埋め込み型補助人工心臓として連続流ポンプが拍動流ポンプよりも利用されるようになってきた。
しかし、連続流ポンプではモータの回転数が低ければ血流の逆流を起こし、高ければ心室内での狭窄現象をおこすため、回転数の制御が重要な課題となる。本研究ではまず遠心ポンプを模擬回路で評価した。その結果バイパス流量波形は遠心ポンプのモータ駆動電流波形と低周波範囲でよく相関していることが示された。
またモータ電流波形の周波数解析から、基本周波数割る高調波成分で示す比率(ひずみ率)が狭窄発生時に減少する事が示された。この結果は成山羊での実験でも証明された。適切な補助流量は狭窄が起る回転数よりやや低い値に設定することで得ることができる。さらに、両心補助型模擬回路において我々は上記の方法を利用して左心補助ポンプのモータ電流により左房圧の変化を推測、右心補助ポンプの回転数を制御し、狭窄を抑えることができた