抄録
日本では、信頼性の高い完全置換型人工心臓と補助人工心臓はまだ完成されていないという現状を踏まえて、我々は体重60Kgの成人に使用することを念頭に人工心臓の試作および制御方法の検討を行った。我々はスターリングの法則に基づいて制御した場合の人工心臓駆動効率の向上を目指して、当研究室で開発した人工心臓を3種類の駆動波形を用いて駆動し、効率を測定した。その結果、電圧一定の方形波で駆動した場合が最も効率がよいことが明らかになった。スターリングの法則に基づいた制御は安静時には有効であるが、酸素消費量が急激に変化する場合には2次的な制御を行う必要があると思われる。そこで、血中酸素飽和度の変動や、心拍変動から自律神経系の情報を取得し、その情報を人工心臓の制御に応用するために検討を行った。その結果、SvO2の変動をもとに、酸素消費量が急激に変化する場合にも対応できるように人工心臓を制御することが可能であるという結論に達した。さらに心拍変動の時系列データを解析することで得られた自律神経系の情報をもとに人工心臓を制御することも可能であるという結論に達した