人工臓器
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定常流人工心臓補助状態推定のための特徴点の同定と意義
模擬循環回路による検討
荒木 賢二押川 満雄穴井 博文中村 都英佐藤 雅郁吉原 博幸鬼塚 敏男
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1999 年 28 巻 2 号 p. 388-393

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抄録
定常流人工心臓を拍動する自然心臓のバイパスとして用いた場合, 消費電流は拍動性を示し, この拍動性は人工心臓の補助状態を反映していると予想される. この仮定をもとに模擬回路試験を用いて, モータ電流の拍動性について検討した. 特別に製作した模擬循環回路は, サック型拍動流ポンプ, 3つのリザーバ, 定常流人工心臓としての斜流ポンプよりなり, モータ電流波形等をモニターした. 回転数を2000rpmから5000rpmまで変化させ, 電流の振幅を電流平均値で除した電流振幅指数 (ICA) を求めた.ICAを回転数に対してプロットしたところいくつかの特徴点 (t-i点, PR 0.7点, PR 0.5点, maxQ点) が同定された. t-i点はポンプの補助が部分補助から完全補助に移行する点によく一致した. 収縮能, 後負荷, 前負荷を変化させた時, 各点でのポンプ流量は前負荷に依存し, Starlingの法則に似た特徴を示した. 以上により, ICA-回転数関係から特徴点を同定することにより, 定常流人工心臓の補助状態が推定可能であると考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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