人工臓器
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BIOREX膜《AM-BC-F》の膜構造と膜内表面平滑性の関係およびその効果
福田 誠宮崎 誠日吉 辰夫
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1999 年 28 巻 2 号 p. 458-464

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抄録

筆者らは, 従来のキュプラアンモニウム再生セルロース膜よりもさらに物質除去性能が高く, かつ膜内表面粗度が小さく適切な抗血栓性を有する, High performance membrame BIOREX AM-BC-F 膜(旭メディカル(株)) を開発した. 原子間力顕微鏡 (AFM) による膜内表面の観察では, 従来膜に比べてAMBC-F膜では, μmオーダーの膜内表面粗度が軽減されていることが分かった. これは, 従来とは異なる組成の銅アンモニアセルロース溶液と凝固法を利用した製膜法 (FIS Fine Inner Surfaceテクノロジー) を採用することで, 膜を構成するセルロースの凝集粒子が従来膜のそれより小さい為であると考えられた. また, ウサギ新鮮血液より作成した多血小板血漿中の血小板の膜内表面への粘着数定量から, AM-BC-F膜ではその内表面粗度が小さいために, 従来膜よりも膜内表面での小板粘着 (活性化) が抑制されることが分かった. したがって, 血液静止下ではなく流動状態下 (臨床) では, さらに, AMBC-F膜は, 抗血栓性に代表される血液適合性に良好な影響を与えると期待された.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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