人工臓器
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人工臓器・組織工学における人工骨格設計 (Scaffold Design)
血管壁再構築モデルを用いた組織侵入過程のin vivo解析
中山 泰秀西 正吾松田 武久
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1999 年 28 巻 2 号 p. 528-532

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抄録
エキシマレーザー加工によりポリウレタンフィルム (大きさ20×12mm, 厚さ30ミクロン) の表面を4等分し, 各領域毎に孔密度を段階的に変化させて微細孔形成したマルチパターン化多孔質フィルムを作成した (孔径: 30ミクロン, 孔の総面積比率: 0, 0.3, 1.1, 4.5%).これを円周方向でパターンが変化するように成型したチューブをカテーテルで犬総頚動脈内に誘導し, ステントで内膜壁に密着するように留置した (内径約8mm). 術後1ヶ月, 全例 (n=10) が開存していた. チューブ内腔面は孔密度に関わらずほぼ全面がコンフルエントの内皮細胞で被覆された. チューブを含む血管組織の縦断面を観察すると, 多くの場合, 無孔部においてチューブ内面での顕著な血栓層の形成を認め, 有孔部では低孔密度領域を除いて血栓はほとんど認めなかった. また, 有孔部では主として経壁的な組織侵入が, 無孔部では吻合部及び隣接する有孔部からと考えられる組織侵入が起こり, 両者とも内膜組織形成を認めた. 内膜壁の厚さは無孔部では約350ミクロン, 最密孔部では約100ミクロンであり, 孔密度が増加するのに伴って薄くなった.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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