人工臓器
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新しい人工血管内挿式リジットステントの開発とその臨床応用
勝本 慶一郎新堀 立田口 真一
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1999 年 28 巻 2 号 p. 541-546

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抄録

ガラス状カーボンで作成したリング付き内挿型人工血管を1989年発表し, 以後, 臨床応用の研究を進めてきた. しかし, リング内面に仮性内膜が形成されない欠点があった. 最近のレーザー加工技術によりステンレス金属管に節状に沢山の穿孔を施し, ステントに類似した構造を持ちしかも剛性を保ったリジットステントの開発に成功した. この多孔性リジットステントを人工血管に挿入した結果, ガラス状カーボンリングと異なり動物実験では仮性内膜が良く形成される結果を得, 血栓形成の懸念がないと思われた. ガラス状カーボンリングならびに新しいリジットステントの臨床応用は, 従来のグラフト吻合と違い, スーチャレスのため手術危険因子を持つ患者にとって吻合時間短縮となり大動脈遮断時間の短縮に有利と思われる. 胸部大動脈瘤 (弓部と下行大動脈) 12名と腹部大動脈瘤患者9名にこれらのリング付き人工血管を植え込み良好な成績を得た. 弓部症例や下行大動脈症例の術中出血量を減少させ, 腹部大動脈のクランプ時間も短縮できた. 市販のringed intraluminal graftは, リングのプラスチック部分をダクロン布で被覆し, 内径を狭めている. しかも, リング幅が長くできないため (8mm程度の幅が限界) 宿主血管との固定にアンカースーチャーが必要であるのに反し, われわれのリング並びにステントは血流と直接接触しグラフトもリングの外側に位置するのでグラフトの直径も大きくなり, アンカースーチャーも不用となって術中操作性にも優れていると思われる. 今回カーボンリングからリジットステントに改良され, 仮性内膜の問題点が解消されている.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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