人工臓器
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大孔径PMMA膜が多臓器不全患者の各種メディエーターに及ぼす影響
坪 敏仁
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1999 年 28 巻 2 号 p. 561-565

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抄録

大孔径polyrnethyl rnethacrylate (PMMA) 膜を用いて, 各種メディエーターに及ぼす影響を検討した. 対象は集中治療部で持続血液濾過透析を行った多臓器不全患者13名とした。患者を大孔径PMMA膜 (平均孔径100A) 群7例と通常径PMMA膜 (平均孔径70A) 群6例に分け検討した. 測定項目は穎粒球エラスターゼ, ミエロペルオキシターゼ, IL-6およびIL1とし, その濃度変化およびクリアランス等を測定した. 大孔径PMMA膜での穎粒球エラスターゼのクリアランスは-12.1±27.3ml/minと, 通常径PMMA膜-1.9±17.2ml/minと差はなかった.ミエロペルオキシターゼは濾液中に排出されなかった. 大孔径膜でのIL-6の血液側からみたクリアランスは, 2時間では4.9±5.0ml/minであり, 通常孔径膜では11.6±5.3ml/minと差はなかった. ILIは測定感度以下の症例が多かった. 大孔径PMMA膜は, 今回測定したメディエーターの排出に関しては通常孔径PMMA膜との差は認められなかった. 他の物質についてはさらなる検討が必要であろう.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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