抄録
心内P波高を長期連続記録できるシングルリードVDDペースメーカーを植え込んだ6症例 (62.3±17.8歳, 平均±標準偏差) において, 外来で心房感度を変え測定した閾値とこのヒストグラムとを比較検討した。P波アンプリチュードは8範囲 (ビン) に分かれて記録される。心房感度を順次鈍くしていくことにより測定を行う従来法によるセンシング閾値の1/2とこのヒストグラムの最小値を含むビンの下限値との間に有意な正の相関を認めた (r=0.77, p<0.0001) 。またヒストグラムの下限値に対し従来法による閾値の1/2は有意に大であった (0.53±0.37vs0.64±0.40, p<0.05) 。6例中3例においてヒストグラムでのセンシング不全を認めた。P波アンプリチュード・ヒストグラムは従来法で検出不可能なP波の電位の分布を確認することができる点で有用であり, このヒストグラムを用いることで必要な心房感度設定を適正化することが可能になると考えられる。