抄録
1993年~2014年に,北海道日本海北部利尻・礼文島において,産業上重用種であるリシリコ ンブSaccharina japonica var. ochotensisとの競合が懸念されるホンダワラ類のヨレモク Sargassum siliquastrumとホッカイモクS. borealeの分布を潜水調査した。当海域における海洋環境は衛星画像と粒子追跡実験により分析した。ヨレモクの分布域は拡大し,利尻島の沓形 地区で2010年以降見られており,礼文島船泊地区では2014年に確認できた。当地区においてヨ レモクの分布が拡大した要因としては,対馬暖流の流路の変化が影響して,本種の繁殖時期で ある8月の水温が上昇したことが原因の一つである可能性がある。またヨレモクとホッカイモ クの垂直分布と生育環境を記録した。