2020 年 1 巻 p. 23-32
日本における造形ワークショップが発展する中、実践の継続的展開を担う若い世代の実践者の育成が課題とされている。
本研究は、造形ワークショップの企画から実施および振り返りまで一連の過程に対して実践者がもつ意識の構造を明らかにすることを目的とした。
造形ワークショップとして実施された「アートたんけん隊」2018年度活動を担う実践者4名に対する半構造化インタビューを実施・分析した結果、実践者がもつ意識には【実践者としての実践経験とその省察】、【造形ワークショップの状況と活動効果】、【今後の発展と追求】という三つの側面が含まれることが明かとなった。
総合的考察の結果、経験学習理論の視点からみて、本事例の実践者が造形ワークショップの実践を通して、「具体的経験」と「省察的観察」の段階を踏んでいることが明らかとなった。そして、この二段階を踏んだ上でさらに「抽象的概念化」と「能動的実験」の段階を如何に経験させ、学習サイクルをどのように効果的に促せるのかが実践者のワークショップ経験と学習効果を高めるための課題として示唆された。