2005 年 49 巻 1 号 p. 36-39
本研究では, エレクトロスプレーデポジション (ESD) 法を用いて絶縁性高分子フィルム表面にナノ・マイクロスケールの構造をもつ有機/無機ハイブリッドコート層を作製した. ここでは, コート液としてアクリル樹脂/シリカゾル混合溶液を使用し, コート液中のシリカゾル混合比とコート層に形成されるナノ・マイクロ構造との相関について検討した. 走査電子顕微鏡を用いたコート層の表面構造観察の結果, ESD法によりフィルム表面にナノ・マイクロスケールの繊維状コート層の形成が確認された. 繊維径はシリカゾル混合比の増加に伴って減少し, 600nm~4.4μmの範囲で制御が可能であった. また, エネルギー分散型X線分析により, シリカゾルはコート層の繊維構造中に分散していることが明らかになった.