砥粒加工学会誌
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論文
無酸素銅の表面特性が真空中の絶縁破壊に及ぼす影響
山口 智実樋口 誠宏八重垣 武志島田 尚一横溝 精一金枝 敏明
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2005 年 49 巻 10 号 p. 564-569

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抄録
現在, 日本で, 素粒子物理学における標準模型を超える物理, “Beyond the Standard Model” を目指して, 電子・陽電子衝突反応での素粒子の相互作用を探る次世代加速器 (リニアコライダ) の開発計画が, 高エネルギ加速器研究機構 (KEK) を中心に進められているが, 運転可能域以下の低電界で絶縁破壊を起こすという問題が発生している. 加速器のように真空高電界下では電極の表面状態が絶縁破壊に大きな影響を与えると考えられている. そこで本論文では, 切削時の雰囲気と表面粗さが絶縁破壊に与える影響について検討した. 高電界下で絶縁破壊試験を行うことができる試験装置を試作し, 開発中の加速器と同じ材料である無酸素銅を用いて, さまざまな表面状態をもつ電極に加工し絶縁破壊試験を行った結果, 表面粗さが大きいほど, あるいは乾式切削よりも切削油による湿式切削のほうが絶縁破壊が生じやすくなることがわかった. すなわち, 表面粗さを小さく, また乾式で加工すれば, 真空中において高い絶縁破壊電界が得られることが明らかとなった.
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© 2005 社団法人 砥粒加工学会
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