抄録
人工関節置換術に用いる人工股関節の耐用年数は現在20年程度と制限されており, 人工股関節の耐用年数を延ばすことが求められている. 人工股関節の耐用年数を延ばすためには人工股関節骨頭の加工精度の向上が必要である. これに対し, 著者らは人工股関節骨頭の仕上げ加工にウォータージェットを適用し, 表面精度の向上と仕上げ加工の自動化を実現している. しかし, この加工法において形状精度は悪化しており, 形状精度の向上が必要である. そこで, 本研究ではウォータージェットを用いた人工股関節骨頭の仕上げ加工における形状精度の向上を目的として, 仕上げ加工における加工モデルをもとに加工量を解析し, 加工後の形状を予測するシミュレーション手法および形状制御手法を提案した. 提案した制御手法を適用してウォータージェットによる股関節骨頭の仕上げ加工実験をおこなった結果, 加工後の骨頭の真円度をP-V 136nmまで向上させることが可能となった.