砥粒加工学会誌
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論文
超音波振動を援用した小径内面の精密研削に関する研究
―超音波振動による研削抵抗低減のメカニズム―
野村 光由呉 勇波加藤 正名立花 亨厨川 常元
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2005 年 49 巻 12 号 p. 691-696

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抄録

自動車エンジン用インジェクタの内面など直径数mm程度の小径内面を精密に仕上げる加工法の一つとして超音波振動援用研削を試みている. これまでの研究により, 超音波振動を付加すると研削抵抗は70%前後低減することが明らかになった. 本報では, 超音波振動の付加による研削抵抗の低減のメカニズムについて検討する. まず超音波振動を付加した場合の砥粒の切削長さ (すなわち未変形切りくず長さ) を考慮した研削モデルを提案し, 超音波振動の振幅や周波数および砥石の回転速度などの加工パラメータと研削抵抗との関係を明らかにして, 砥石の超音波振動による研削抵抗の低減率を解析的に求めた. 次に研削実験を行い, 研削抵抗の測定と切りくずのSEM観察を行うことによって解析結果を検証した. その結果, 研削抵抗の低減が砥粒の切削長さの増大に伴う切りくずの断面積の減少によることが明らかになった. また振幅が大きいほど, 砥石の周速が低いほど, 研削抵抗の低減率が大きいこともわかった.

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© 2005 社団法人 砥粒加工学会
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