抄録
筆者らは, これまでCNC平面研削盤の円弧補間運動機能を利用した研削砥石のR成形法を提案し, その有効性を明らかにするとともに, 成形能率と精度の向上策について検討を進めてきた. 一方, 研削によって自由曲面を創成する場合, 砥石作業面は偏摩耗することから, 加工を中断して再成形する必要が生ずる. しかし, 本R成形法を再成形に用いた場合の有効性や問題点, 成形条件など不明な点が多い. そこで本研究では, R付き砥石の作業面が摩耗して平坦部やコサインカーブ状のうねりが発生した場合について, 再成形プロセスをシミュレーションによって検討した. その結果, 本R成形法は特にツルーイング砥石損耗率αが小さい時, 砥石作業面形状の乱れを能率的に修整できること, 摩耗幅やうねりの波長が増加すると再成形に必要なツルーイングパス回数が指数関数的に増加することなどを明らかにした. また, 摩耗平坦面が生じた場合について再成形実験を行い, 本R成形法の有効性を確認した.