2006 年 50 巻 9 号 p. 531-536
本研究は,精密ガラスモールド非球面レンズ用の金型材料として多用されているCVD-SiC素材の高能率高精度研磨法の開発を目的としている.從来方式であるダイヤモンド砥粒のみを用いた研磨法に加え,メカノケミカル研磨法による効果も同時に作用させる試みとして,ダイヤモンド砥粒と金属酸化物砥粒の混合砥粒による研磨加工実験を行なった.また,基礎的な加工データを得るために,平板サンプルについてエポキシ樹脂製のポリシャを用いた研磨加工実験を行ない,材料除去能率に着目して,ダイヤモンド砥粒および各種金属酸化物砥粒による研磨加工特性を明らかにした.実験の結果,混合砥粒を用いた場合,メカニカルな作用とメカノケミカルな作用とが共存しながら研磨加工が進行していることが明らかとなった.また,0.13μm以下のダイヤモンド砥粒の場合には,混合砥粒を用いることにより,加工量の増加を図り得ることが明らかとなった.