抄録
円筒形電磁バレル研磨機は,電磁石による回転磁界を,磁性を有するステンレス製ピンのメディアに作用させることによって部品の加工を行う.微小バリ取り用の研磨機として実用化されている.最近開発されたため,加工の基礎的な振る舞いが未解明のままであった.本報告は,本研磨機の高性能化への改良や,新しいタイプの研磨機の考案のために,加工原理の基本となる磁界中のメディアの運動について調べた.まずメディアの運動に重要な影響を与えるバレル容器内の磁界分布を調べた.バレル容器内に入れるメディアの量がわずかであると自転のみで,次第にメディア量を増やしていくと,容器の半径方向を往復する動きが加わる.さらに増やすと公転の動きが加わる.そして,メディア量が臨界値(本装置の場合10g)を超えると,ほぼ自転と公転の動きのみとなる.自転は電流が増加すると,電源周波数を変えてもその周波数と同期して回転する.公転は容器内の水流とほぼ同一の速度で回転し,電流やメディア量が増すほど速い.このように,容器内の各種条件によるメディアの自転と公転運動が明らかとなった.