抄録
今日,発泡スチロールの成形加工は,個別受注生産であれば主に切削に頼らざるを得ない状況である.本研究では,1パスで最終形状を創成でき,切りくず処理が容易であるなどの利点を有する熱ワイヤ工具に着目し,これによって発泡スチロールのねじれ面創成加工を試みた.そのためにまず,この曲面をワイヤカットが可能な直線の集合体である線織面に近似することを検討した.次に,回転テンソルを介して座標変換することで,ワイヤ工具にこの線要素をたどらせるNCデータを作成するソフトウェアを構築した.最後に,通電発熱させたニクロム線を5軸制御することによって発泡スチロールを2次元加工し,目的とするねじれ面を熱ワイヤカットによって創成できることを実験により確認した.