圧粉磁心は,自動車や家電,エレクトロニクス分野で必須の電磁変換用コイルとして使用される.本材料は,絶縁被膜で覆われた純鉄粉をプレス成形して作製され,汎用の電磁鋼板に対して電磁変換効率がよいという特徴を持つ.しかし,本材料に対して通常の仕上げ加工を行うと,その効率が著しく低下する課題が発生する.この原因は,加工面に数十μm厚さの電気導通層が形成されて,材料表面の電気抵抗が大幅に低下するからである.我々はこの課題を解決するために,ELID研削を応用して本材料と研削砥石間に通電しながら加工を行う絶縁再生研削法に発展させた.本手法は,加工中に生じた導通層を電解除去することで絶縁性を再生し,電気抵抗を向上させる加工法である.本研究により,電磁変換効率を損なうことなく圧粉磁心の仕上げ加工が可能となった.さらに付加機能として本手法を適用した加工面は,高い防錆力の発現が確認されている.