抄録
半導体素子の基板材料の切断には遊離砥粒マルチワイヤソーが用いられている.遊離砥粒マルチワイヤソーではスラリーと呼ばれる砥粒とベースオイルを懸濁させた加工液とピアノ線を加工部に供給することによって,加工部へ進入した砥粒の転動作用及び引掻き作用によって加工が行われる.そのため,加工部へ進入した砥粒挙動が加工に与える影響は大きいが,加工部における砥粒挙動は明らかとなっていない.そこで,本研究では遊離砥粒マルチワイヤソーの加工メカニズムの解明を目的とし,加工溝底部における砥粒挙動についてモデル化できる装置を使用し,高速度カメラを用いて加工溝底部で運動する砥粒の様子を観察した.そして,マルチワイヤソーの加工部における砥粒挙動が加工に与える影響について検討を行った.