抄録
電着砥石は,優れた加工能率や複雑な形状の工具が製作可能であるという特徴をもっている.これは,ダイヤモンドやCBNなどの砥粒をメッキによって台金に固着させることで,比較的高い砥粒突き出し量が実現できるためである.とくに,砥粒が単層固着されている研削工具の場合,砥粒の形状や分布が加工仕上げ面の精度に大きな影響を与える.このようなことから,筆者らは,グレードの異なる3種類の同一粒径のダイヤモンド砥粒を対象に,砥粒を形成する1つの砥粒面の性状を画像処理により定量的に評価する手法について報告した.その結果,各グレードの粒度分布はほぼ同一であるものの,それぞれのグレード内における砥粒面の性状にばらつきが存在することもわかった.そこで,本報では,1つのグレードにおける砥粒の形状を分類する手法について報告する.具体的には,砥粒の上・下面の砥粒面とその側面の砥粒面を同時に計測することで,砥粒のほぼ全ての砥粒面の性状が数値的に評価でき,それを用いて砥粒形状を分類する.さらに,分類した砥粒形状ごとに圧壊加重値を計測し,砥粒形状と圧壊加重値の関連性について示す.