抄録
低炭素社会の実現に向け,省エネルギ製品である発光ダイオード(LED)の普及に伴い,その基板材料であるサファイアのさらなる生産性向上が要求されている.本研究ではサファイア基板のCMPにおける研磨レート向上を目指し,機械的なアシスト研磨法として超音波振動を援用したCMPによる高能率研磨を試行するとともに,その研磨メカニズム解明を目的とする.本論文では,超音波振動によって誘発される基板近傍におけるキャビテーション現象を確認し,それが研磨レートへ与える影響を考察した.さらに,研磨パッドの特性(空孔数・空孔開口径)の異なる2種類のスウェードパッドを用いて,超音波振動の効果を検証した.その結果,スウェードパッドを用いた慣用CMPでは,空孔数が多い研磨パッドを用いることで研磨レートは増加することが明らかとなった.また,超音波振動アシストCMPでは,研磨パッドの特性によって超音波振動に起因する研磨レート向上効果に相違があることを確認した.