2020 年 64 巻 3 号 p. 152-157
スウェ-ドパッドを用いたガラス基板の両面研磨工程においては,研磨時間の進行とともに研磨速度は次第に減少するという問題がある.一般的に,研磨速度はパッドとガラス基板相互間の摩擦係数に依存すると言われているが,その摩擦係数を決定するパラメ-タは特定されていない.著者らはパッド表面性状が摩擦係数に影響を及ぼすと仮定し,ダブプリズムを用いた接触画像解析法によって接触率の影響を検証した.とくに,スウェ-ドパッドを用いた片面枚葉研磨装置による連続6バッチの研磨テストを通じて,バッチ数の進行に伴う接触率の極端な増加を確認した.これらの結果から,接触率の極端な増加は,研磨界面において砥粒を含むスラリ-の滞留を減少させることによって摩擦係数は低下し,その結果として,研磨速度が減少することを明らかにした.