砥粒加工学会誌
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ダイヤモンドシートを用いたガラス基板の固定砥粒研磨の研究
—研磨特性に及ぼす基板初期面性状とクーラントの影響—
畝田 道雄澁谷 兼斗
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2022 年 66 巻 12 号 p. 706-711

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抄録

工業用ガラス基板の生産プロセスには,専用ク-ラントを用いたダイヤモンドシ-トによる固定砥粒研磨法が用いられている.この固定砥粒研磨法ではガラス基板の初期面性状やク-ラントが研磨特性,とくに研磨レ-トや表面粗さに影響を及ぼすことが経験的に知られているものの,それを体系的に評価した試みは十分ではない.したがって,本研究ではこれら2つのパラメ-タに着目し,両面同時研磨による検証を行った.とりわけ,基板の初期面性状を白色光の透過現象で,ク-ラントの特性については上定盤を外しての両面同時研磨において下定盤に形成される気泡の発現に起因する液膜の色合い(輝度値)によって評価した.その結果,基板の初期面性状が研磨レ-トに及ぼす影響は大きく,初期面が鏡面に近いほど研磨レ-トは小さいことを明らかにするとともに,初期面性状の程度を表すために定義した梨地面比と研磨レ-トには相関があることを確認した.さらには,下定盤に形成される液膜が白色に近づくク-ラントほど高い研磨レ-トを得ることが難しく,その白色はガラス基板の固定砥粒研磨に伴う気泡の発現による研磨界面へのク-ラントの浸入抑制とスラッジの排出性に関係すると考察した.

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© 2022 社団法人 砥粒加工学会
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