2022 年 66 巻 12 号 p. 712-719
単結晶シリコンの超仕上げにおいて,化学的作用をもつ硫酸バリウム(BaSO4)砥粒を含むメカノケミカル超砥粒砥石の開発によって従来のダイヤモンド砥石よりも仕上げ性能の向上,高寿命化が実現された.本報では,メカノケミカル超砥粒砥石において,砥石表面のBaSO4砥粒の割合と超仕上げ性能との関係を調査した.その結果,目直し後に対して超仕上げ中に砥石作業面内のBaSO4砥粒がある程度維持され,作業面以外の砥石表面のBaSO4砥粒が次第に破砕すると,高い結晶性が保持された良好な仕上げ面が得られる.一方で,BaSO4砥粒の割合が大きく減少すると,機械的除去作用が主体となるため仕上げ面粗さが悪化し,結晶性が低くなることがわかった.