2024 年 68 巻 1 号 p. 26-32
粒径の大きな砥粒は液中での沈降速度が速いため,遊離砥粒研磨においては研磨面に砥粒を供給し難いことがある.そこで研磨液にカルボキシメチルセルロ-スナトリウム(CMC-Na)を添加することで,粒子の沈降が抑制され,研磨性が向上すると期待できる.本研究では,CMC-Na水溶液中の砥粒の沈降特性を調べるために,光透過率測定装置を試作した.同装置を用い,CMC-Na 0~1.0wt%の水溶液に対して,緑色炭化けい素(GC)砥粒#600を混合して,光透過率の経時変化から沈降特性を調べた.その結果,CMC-Na濃度の増加とともに,光透過率上昇が遅くなった.すなわち,砥粒の沈降速度が低下することが示された.さらに,CMC-Na を1.0wt%添加したGC砥粒#600研磨液を用いて,アクリル樹脂製平板を液中で局所研磨した.その結果,CMC-Na を添加することにより,除去速度が向上することがわかった.