粒径の大きな砥粒は液中での沈降速度が速いため,遊離砥粒研磨においては研磨面に砥粒を供給し難いことがある.そこで研磨液にカルボキシメチルセルロ-スナトリウム(CMC-Na)を添加することで,粒子の沈降が抑制され,研磨性が向上すると期待できる.本研究では,CMC-Na水溶液中の砥粒の沈降特性を調べるために,光透過率測定装置を試作した.同装置を用い,CMC-Na 0~1.0wt%の水溶液に対して,緑色炭化けい素(GC)砥粒#600を混合して,光透過率の経時変化から沈降特性を調べた.その結果,CMC-Na濃度の増加とともに,光透過率上昇が遅くなった.すなわち,砥粒の沈降速度が低下することが示された.さらに,CMC-Na を1.0wt%添加したGC砥粒#600研磨液を用いて,アクリル樹脂製平板を液中で局所研磨した.その結果,CMC-Na を添加することにより,除去速度が向上することがわかった.
本報は,クリ-プフィ-ド研削におけるびびり振動の発生機構について,砥粒切れ刃の摩耗形態の影響から明らかにすることを目的とするものである.砥石外周の一部にスティック砥石を用いた研磨を行い,そこに点在する砥粒切れ刃を摩滅摩耗と同様の状態に施した砥石を用いて,研削実験を行った.その結果,砥石外周の一部に摩滅を発生させた砥石を用いると,加工後の工作物表面の研削方向に周期的な縦筋が現れ,特定のピ-ク周波数の発現によりびびり振動の発生が確認された.さらに,砥石周速度や工作物送り速度などの研削条件を変更させて加工実験を行い,砥粒摩耗形態とびびり振動の発生の関係を明らかにした.