2024 年 68 巻 7 号 p. 399-403
マイクロ結晶ダイヤモンドは高硬度,高耐摩耗性などの優れた特徴をもつが表面粗さが大きい問題がある.一方,ナノ結晶ダイヤモンド(NCD)膜は表面粗さが小さい利点をもつが非ダイヤモンド成分を多く含むため耐摩耗性の低下が問題となっている.本研究ではCH4濃度変調によりダイヤモンドおよび非ダイヤモンド核生成と非ダイヤモンドのエッチングを制御した新たなダイヤモンドの成長制御法を提案した.その結果,CH4濃度変調を用いて得られたNCD膜はRa 0.026 μmと平滑であり, CH4濃度10%により作製したNCD膜の最大硬度46 GPaと比較して最大73 GPaと硬度は上昇し,膜質の向上も確認された.このことからCH4濃度変調プラズマを用いることでダイヤモンドの核生成と成長を制御することが可能であることがわかった