2025 年 69 巻 6 号 p. 332-337
金属表面加工において,加工面および亜表面の品質を向上させることは重要である.本研究の目的は,切削点近傍に局所的に圧縮静水圧応力場を発生させ,余分な塑性流動を抑制し,加工面品位を向上させる切削技術を開発することである.本論文では,切削点近傍に局所的に圧縮静水圧応力場を与えるすべり治具を具備した切削工具を開発し,純アルミニウムの切削実験を試み,慣用切削による結果と比較した.その結果,開発した工具による局所圧縮静水圧援用切削では,切削溝の両肩に生じるばりを代表とする塑性変形を低減できることが明らかになった.開発手法による金属の塑性変形の低減の効果を理論的に検討するため,実験と同様な工具による局所圧縮静水圧援用切削の分子動力学シミュレ-ションも試みた.その結果,開発手法は局所的な静水圧の付与により,切削時のばりの生成をはじめとする余分な塑性変形の低減に有効であることが証明された.