2019 年 5 巻 1 号 p. 43-52
本研究の目的は,競技特異的状況下での反応動作に関わる認知機能を検討することである.異なる属性のサッカー選手を対象とし,サッカー競技に特異的な映像課題に対する反応動作を行い,その動作開始までの時間を比較するとともに,反応時の思考を問うアンケート調査も行った.結果より,反応動作開始までの時間は,課題難易度が高いほど遅延すること,および課題動作ごとに属性によっては反応動作開始までの時間に遅延や短縮が起こることがわかった.これにより,競技特異的状況下での反応動作に関わる認知においては,局面ごとの動作や位置関係に対する理解といった局面特異的な経験値が関与する可能性が示唆された.