2020 年 5 巻 2 号 p. 141-149
棒高跳選手は腰椎/下背部に傷害が多く,慢性的な腰痛に悩む選手が多い.本研究は,大学生男子棒高跳選手9名を対象とし,慢性腰痛の有無において踏切動作を比較し,その特徴を明らかにすることを目的とした.アンケートから,4名に慢性腰痛が認められた.高速度カメラを用いて競技動作を撮影し,2次元DLT法により実座標に換算した.その結果,慢性腰痛あり群は試技間における股関節伸展角度の変動係数が有意に大きかった.これらの結果から,慢性腰痛がある選手は四肢の動作制御に貢献する体幹部の安定性が不足しており,動作にバラつきが生じている可能性が推察された.