2020 年 5 巻 2 号 p. 165-169
Groin pain(以下GP)は様々な部位に痛みを生じ復帰に長期を要する例がある.しかし難治性GPになり易い症例を自覚症状から判断するのは難しい.本研究はスポーツ中のGPを主訴とし当院でMRIを施行した1091例のうち16~40歳の651例(男555/女96例,平均:年齢20.3±5.2歳,身長171±7cm,体重64.6±9.5kg,BMI21.9±2.3,経過観察40週)の自発痛部位の割合を調査し難治性GPに特徴的なMRI所見の有無で分類,それぞれの自発痛部位と難治性GPのMRI所見との関連性を検討した.自発痛は鼠径部(47%)に最も多く認められたが,難治性GPに特徴的なMRI所見と関連を認めた自発痛部位は下腹部(p<0.001),会陰部(p=0.015),恥骨結節部(p<0.001)だった.上記3部位の痛みは難治性GPになる可能性があると現場で判断する指標の一つとなり得ると考える.