2021 年 6 巻 2 号 p. 181-188
本研究の目的は,大学男子ラグビー部の新入部員と上級生における気分・感情とスポーツ傷害発生との関連を検討することであった.2019年4月上旬から7月末に日本語版Profile of Mood States短縮版を8回実施し,調査実施後1週間以内にスポーツ傷害が発生した例(以下,傷害例)(新入部員8例,上級生10例)と発生しなかった例(以下,非傷害例)(同様に111例,108例)を分析対象とした.2要因分散分析の結果,新入部員に限っては日本語版Profile of Mood States短縮版の下位尺度であるTension-AnxietyとConfusionにおいて非傷害例より傷害例が有意に高い値を示した.以上のことから,特に新入部員のTension-AnxietyとConfusionの増加の兆候に注意を払う必要があると示唆された.