日本細菌学雑誌
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BCGを用いた抗酸菌の抗原性および病原性に関する研究
大原 直也
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2005 年 60 巻 2 号 p. 349-356

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抄録
BCGワクチンは結核に対する安全なワクチンとして, 1948年以降延べ25億人以上の人々に使用されてきた。その効果については疑問が持たれており, 現行のBCGにかわる著効なワクチンの開発が望まれている。また, 抗酸菌による感染症の中で2番目に患者数の多いハンセン病についてもワクチンの開発が望まれている。本研究では, BCGの産生する感染防御抗原であるAg85 complex を過剰発現させることでBCGの免疫効果を高めることができることを明らかにした。また, 結核菌の特徴である宿主内における休眠状態に同菌の持つ2種類の低分子ストレス蛋白質HspX (Acr) とHrpAが関係し, 菌の休眠および再活性化と相関があることを明らかにした。HrpAは一度酸素飢餓状態に陥った後に再度酸素に触れることにより発現することから, 菌の再活性化に関与することが示唆された。さらに, 骨結核およびBCG接種の副作用である骨炎に関連し, BCG感染骨芽細胞が, TNF-α受容体ファミリーの4-1BB (CD137) を産生すること, 4-1BBは破骨細胞前駆細胞上の4-1BBL (CD137L) を介して逆向きのシグナルを細胞内に伝達することにより, 破骨細胞への分化・成熟を抑制することを明らかにした。TNF-α受容体ファミリーの, いわゆるリバースシグナルの伝達経路は全く不明であったが, Aktの経路を介すること, NFAT2の転写を抑制することが明らかになった。
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