育種学研究
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原著論文
バルクセグレガント法によるニラ四倍体(Allium ramosum, syn. A.tuberosum 2n=4x=32)の単為発生性連鎖マーカーの開発
天谷 正行中澤 佳子松本 紀子飯村 一成
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2010 年 12 巻 3 号 p. 73-80

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抄録

単為発生性ニラ品種「テンダーポール(2n=4x=32)」と非単為発生性系統(両性生殖性)「97-12-102(2n=4x=32)」とのF1集団を材料として,バルクセグレガント法により単為発生性に連鎖するDNAマーカー(Parthenogenesis Linked Marker: PLM)を開発した.1,443種類のランダムプライマーを使用して,単為発生性個体および非単為発生性個体のうち各8個体から作製したバルクDNAを調査した結果,3個の単為発生性個体に特異的なマーカーを見いだした.これらをTAクローニング後にSCAR化し,それぞれPLM1,PLM2およびPLM3と命名した.このうちPLM1とPLM3は単為発生因子(P)と3.4 cMおよび1.1 cMの距離で連鎖しており,P因子を挟んで存在すると予想された.これに対し,PLM2は単為発生性との連鎖は認められなかったが,単為発生頻度の高い個体に多く保存されている傾向があった.これらのマーカーをニラ遺伝資源73品種・系統について調査した結果,80%以上から増幅が確認され,種内で広く保存されていると推察された.しかし,品種「成都」とその後代系統「00-02-05」では,単為発生性であるがPLM1およびPLM3は確認されなかった.

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© 2010 日本育種学会
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